2016.03.11
相続手続きにおける不動産の扱い
今回は、不動産が遺産に含まれる場合の、処理方法について書こうと思います。
例えば被相続人にいくつかの不動産があった場合、どのように分割をするのか、相続人間でもめることが多いです。
分け方としては、①この建物はAさんへ、この土地はBさんへ、この建物はCさんへ、などと、現物そのものを分割する方法、②不動産を売却して金銭に換価して、その金銭を分割する方法、③この土地、建物はすべてAさんのものとして、BさんCさんは、その代わりにAさんから金銭で支払ってもらうという方法、④不動産はすべて、A、B、Cさんの共有(例えば3分の1ずつ)にする方法、などが考えられます。
まず、④の方法は、不動産が共有状態となるため、それぞれが自由に不動産を利用できないことも出てきてしまうため(処分するなど)、あまりすべきではないことが多いです。
①については、そのように不動産が十分ある場合であれば可能ですが、そもそも1つの不動産しかなくて相続人が複数いる場合にはできません。
②については、実際に早期に売れればよいですが、なかなか売れなければ、いつまでたっても解決しないということにもなってしまいます。
そこで、実務上は、③の方法をとることが多いように感じます。
特に、すでに遺産となる不動産に住んでいる相続人がいるような場合には、そのままその相続人の単独名義として、住むなり処分するなり自由にできるようにしてあげたうえで、他の相続人は現金をもらうことで、満足を得ることができますので、有効な方法になります。
ただ、その場合には、不動産をどのように評価するのか、という問題が当然に生じます。
簡単な事例を想定すると、不動産の価値が120万円だったとして、相続人が3人、それぞれの相続割合が3分の1ずつだったとします。
その場合に、Aさんが不動産、BCは代償金としての金銭をもらうという協議が整った場合には、BCは不動産の価値の3分の1である、40万円ずつをAさんからもらうことになります。
ただ、それは不動産の価値を120万円と決めた場合ですので、仮にこの価値が150万円だったとすると、BCは50万円ずつをもらえることになるのです。
このように、③の場合には、不動産の価値をどう決めるか(固定資産税を決める際の評価額で決めるのか、路線価という評価方法で決めるのか、それとも実際の取引価格で決めるのか)、争点となることが多いです。
③の場合に限らず、相続においては不動産の価値をどのように決めるのかという点が、とても重要ですので、できる限り多く(というよりも公平に)相続するためには、専門家を入れて、有利な不動産評価となるように交渉をすることをお勧めいたします。