遺産分割調停と電話会議システム

相続が発生し、相続人間で協議をしても結論が出ないときには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。

この場合、申立てをした相続人、相手方となった相続人、いずれも、指定された期日に実際に家庭裁判所に行くというのが原則になります。

これは、実は現実的ではないことも多く、とある相続人が、管轄となった家庭裁判所から遠く離れた場所にいる場合、出席は難しくなります。

調停の期日は、目安として月に一度ですので(あくまで目安で、都合によっては2月に一度になることもあります)、そのたびに出席するとなると、交通費だけでも大変な負担ですし、平日に仕事を休む必要が生じるため、現実的に難しいことも多くなります。

弁護士を代理人としてつけることもできますが、その相続人と同じ場所に事務所を構える弁護士だと、やはり交通費(や日当)がかかりますし、管轄となる裁判所の近くに事務所を構える弁護士だと、打合せをするのが大変になります。

そこで、このような場合を想定して、家事事件手続法上、いわゆる「電話会議システム」というのが用意されており、これを利用すれば、遠方の相続人(若しくはその代理人)は、電話により調停手続きに参加することができます。

これが利用できれば、遠方の相続人は、大幅に時間や金銭的負担を軽減することができるので、とても有り難い制度となっております。

ただし、実際の運用上、絶対に利用できるとも言えないのが現状です。

例えば、とある県にある家庭裁判所で、この「電話会議システム」の利用をお願いしたところ、「代理人(弁護士)がついている場合には、遠方であったとしても来てもらうようにしております。」と言われてしまい、使うことができませんでした。

いろいろな弁護士や相続人の方と話をしていても、「電話会議システム」を使えなかった、というケースが出てきます。

各家庭裁判所によって異なる運用体制なのかもしれませんが、おそらく、「相続人が体調や病気等で遠方から出席するのが難しく、かつ、代理人弁護士もつけられないようなケース」を想定しているのかな、と思われます。

確かに、遺産分割においては、調停の期日に、調停委員らの面前で、しっかりと時間をとり、充実した話し合いを行うということが解決には必須であるケースが多いため、電話で遺産分割について突っ込んだ話をするというのは、難しい面がかなりあるのは間違いありません。

遠方の家庭裁判所で遺産分割調停を行うこととなった場合には、このような制度もあるということを念頭に入れて、調停への参加を検討いただくと良いかと思われます。

 

 


この記事の著者

塚谷翔

弁護士

塚谷翔

相続は、親族間の問題であるからこそ根深い対立を招きがちです。早い段階で専門家に依頼することが重要です。迷ったら是非一度相談してください。私は、サッカーと映画鑑賞をこよなく愛しており、映画の評論をしちゃうような弁護士を目指しています。

札幌 税理士法人ノースブレーン

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