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遺言をどのように保管するか

遺言・生前対策

遺言の代表的な方式は、自筆証書遺言、公正証書遺言の2つです。

遺言について詳しくはこちら(遺言専門サイト)

自筆証書遺言、公正証書遺言のそれぞれにメリット・デメリットがありますので、どの方式を選択するかは上記サイトを参考になさるか、専門家に相談するのがよいと思います。

今回取り上げる問題は、作成した遺言をどのように保管するかという点です。自筆証書遺言の場合は、原本は遺言者の手元にあります。公正証書遺言の場合は、原本は公証役場に保管され、遺言者には謄本(正本を含む)が渡されます。自分が亡くなった時に遺言の内容を実現するためには、遺言が相続人の手に渡らなくてはなりません。公正証書遺言であれば公証役場で検索をかけると見つかるので安心だとよく言われますが、相続人が公正証書遺言が作成されたことを知らなければ検索すらされない可能性がありますので、遺言書謄本が相続人の手元に届くように考えておく必要があります。

※民法改正により自筆証書遺言を法務局が保管する制度が創設(未施行)されましたが、具体的な手続きの詳細が不明のため、本記事では触れないでおきます。

(保管方法の例)

1.信頼できる相続人に預ける

封をした自筆証書遺言の場合、勝手に開封すると過料(罰金)が課されます。また改ざん等の不正を疑われると権利を失う可能性もありますので、開封しないよう言い含める必要があります。相続人に遺言内容を伝えていない場合は、避けた方がいいと思います。

2.金庫や貸金庫に入れる

普段使用する机やタンスなどではなく、重要書類が入っていることを家族が認識できる金庫等に保管しましょう。遺言を金庫等に入れたことを相続人に伝えておくか、遺言を作成したことを知られたくない場合でも、鍵の場所、開け方等を伝えておく必要があります。生前に鍵の開け方を教えたくない場合は、銀行の貸金庫を借りましょう。貸金庫を借りていることを相続人に伝えておくのがよいですが、預金口座がある銀行であれば、預金の相続手続きの際に銀行の処理の中で貸金庫の存在が明らかになる可能性が高いです。

3.遺言執行者に預ける

司法書士や弁護士などを遺言執行者に選び、その専門家に預けておくのもよいでしょう。その場合でも、自分の死後にその専門家に連絡を取るように相続人に伝えておくか、専門家と定期的に面談や連絡をとるような契約(見守り契約)をしておく必要があります。

(失敗事例)
公正証書遺言を作成し謄本を弁護士に預けておいたが、家族にはそのことを話していなかったケース。
家族は遺言の存在を知らないまま相続手続きを進め不動産の売却までしてしまいましたが、半年後に弁護士が本人の死亡を知り遺言の存在を明らかにしました。このケースでは相続手続きを一部やり直したり、不動産の売却を解除する必要が出てきてしまいました。

遺言の保管方法はケースバイケースですが、遺言を作成したことで安心せず、自分の死後スムーズに遺言が相続人の手に届く方法をよく考えておくことが重要です。


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