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相続基本情報

遺産分割協議について

ある方が亡くなり、その方の相続人が複数いる場合、どのように相続手続きは進むのでしょうか?
ここでは、実際に相続が発生した場合の流れについて、解説をしていきます。

遺産分割協議とは

例えば、Xさんという方が亡くなり、妻Aさん、二人の子どもBさん、Cさんがいた場合を想定しましょう。
まず、Xさんが遺言書を作成していた場合(遺言がある場合の手続きについてはこちら)、その遺言書の通りに相続は進むので、問題はあまりありません。
しかし、もしXさんが遺言書を作成していなかった場合には、相続人間で話し合いをする必要が生じ、これを『遺産分割協議』といいます。
今回のケースでは、妻Aさん、子どものBCさんが相続人となり、この3名での話し合いが遺産分割協議です。

遺産分割協議は、読んで字のごとく、相続人間で、遺産についてどのように相続をするかを話し合うことです。したがって、相続人間で、いかようにも決めることができます。
例えば、亡くなったXさんに自宅不動産や預貯金があった場合、自宅不動産を誰の名義にするのか、預貯金を誰がいくら相続するのか、といった具体的な分割方法を決めることになるのです。民法上、法定相続分というのが定められていて、今回のケースだと、妻であるXさんは2分の1、子らは全体で2分の1(したがってBCさんは各自4分の1ずつ)となりますが、協議次第では、この割合に縛られずに自由に取り決められます。
したがって、すべてをBさんが100%相続して、他のA、Cさんは一切相続しない、ということも可能になります。

遺産分割協議の方法

では、遺産分割協議は、どのような方法で行うのでしょうか。

01

遺産分割協議(裁判外での話し合い)

まず、最初にするのは、相続人の皆で話し合いを行う形です。特段形式はなく、皆でどこかに集まり話し合うのもよし、メールでやりとりをしてもよし、決まりはありません。
ただ、最終的に、まとまった内容を『遺産分割協議書』という形で書面化しておく必要があります。
預金等を解約したり、不動産の名義を変更する場合には必要になりますし、そうでなくとも、まとまった内容が後日曖昧にならないようにも、ぜひとも作成をしてください。

遺産分割協議書の具体的なイメージは、このようなものになります。

遺産分割協議書

被相続人 X
生年月日 昭和1年1月1日生
死亡日 昭和60年1月1日
本籍地 北海道札幌市~

被相続人Xの遺産について、Xの相続人全員で遺産分割協議をした結果、次の通り分割をする。

1 相続人Aは、次の遺産を取得する。
(1)土地
所在 札幌市~
地番 ○番地
地目 宅地
地積 100m²
(2)建物
所在 札幌市~
家屋番号 ○番
種類 居宅
構造 鉄骨造スレート葺2階建て
床面積 1階 40m²、2階 20m²
2 相続人B、Cは、それぞれ、次の遺産を取得する。
(1)相続人B
○銀行○支店普通預金口座 口座番号○○の預金のうち、50万円
(2)相続人C
○銀行○支店普通預金口座 口座番号○○の預金のうち、70万円
3 本遺産分割協議書に記載のない遺産が新たに発見された場合には、相続人全員による協議を別途行うこととする。

上記の遺産分割協議内容を証するため、本書を作成し、各自署名の上、各1通を保管することとする。

令和○年□月△日

住所 札幌市~

氏名 A

住所 東京都~

氏名 B

住所 札幌市~

氏名 C

02

遺産分割調停

次に、皆で話し合いをしたが、まとまらなかった場合にはどうなるのでしょうか。
その場合には、そのままでは遺産分割手続きが一切進みませんので、家庭裁判所に対して『遺産分割調停』を申し立てる必要があります。
これは、相続人の一部が、他の一部を相手方として、家庭裁判所にて遺産分割についての話し合いをすることを求めるものです。具体的な申し立ての方法等については、最寄りの家庭裁判所にお聞きいただければレクチャーを受けられますし、ぜひとも弁護士や司法書士等の専門家にご相談ください。

ただ、この手続きも、あくまで、家庭裁判所にて遺産分割協議を行うというものですので、話し合いをすることには変わりありません。したがって、結局争いが解決しなければ、遺産分割調停も不成立で終わることになります。
具体的には、妻Aさんは亡Xさんの自宅に住み続けたい、ところが子であるBCさんは自宅を売却しお金に変えたい、と対立をしていて話し合いが平行線になれば、調停は不成立で終わってしまうことになります。

03

遺産分割審判

調停が不成立になった場合には、最終的に、遺産分割の審判手続きに自動的に移行します。これは、話し合いではなく、家事審判官が、結論を下す(これを審判といいます)ことになるため、結論が職権的に出されることになります。

例えば、妻Aさんが自宅不動産に住み続けたい、子どものBCさんは自宅を売却したいということで対立していた争点について、家事審判官が、自宅については売却して各自の法定相続割合で分割せよ、と審判を出す、というようなことになります(もちろん、そのような審判は、あくまで一例です。)。

なお、相続人は、先に述べた(02)の遺産分割調停を申し立てずに、いきなり(03)の遺産分割審判を申し立てることもできますが、多くのケースでは、家庭裁判所としては、まずは相続人間で話し合いをしてみましょうということで、調停に回されることが多いのが実務です。

04

高等裁判所で争う

先に述べた通り、遺産分割審判に進んだ場合、家事審判官によって、「このように遺産分割をしてください」という審判が下されることになります。そして、この審判内容に不服のある相続人は、審判書を受け取って2週間以内に、即時抗告(簡単に言うと不服申し立て)をすることができます。その場合には、審判内容が正しいかどうかを、高等裁判所で判断することになります。

分割の方法(現物分割・代償分割・換価分割)

以上が、具体的な遺産分割協議の方法になります。
では次に、分割をする方法にはどのような方法があるのでしょうか?大きく分けて、これから述べるとおり3つのパターンがあります。

現物分割

具体例を先にあげます。
亡Xさんに不動産、預貯金、証券があったとして、妻Aさんは不動産、子どもBさんは預貯金、子どもCさんは証券、というように、遺産そのものを現物で分ける方法です。
この方法のメリットは、分割それ自体が単純にできることです。

ただし、価値に開きがある場合(不動産は2,000万円の価値があり、預貯金が100万円しかなければ、大きな価値の違いがあります)、不平等が生じやすく、それを埋めるためには相続人が持ち出し等をする必要が生じかねないデメリットがあります。

代償分割

これは、先の例でいうと、不動産、預貯金、証券のすべてをXさんが取得する代わりに、XさんがBCさん各自に、それぞれ1,000万円ずつ支払いをする、というような方法になります。遺産に不動産が含まれており、その不動産にだれか住みたいという相続人がいるようなケースでは、その相続人に不動産を単独取得させて、その代わりに他の相続人には金銭を支払うことで解決ができます。代償金の金額をうまく調整し決めることで、平等性も確保することができますので、不動産がありそこに住みたい相続人のいる遺産分割のケースでは多用する分割方法です。

換価分割

これは、遺産を売却し、そのお金を金銭で分ける方法です。先の例でいうと、不動産や証券を売却してすべて現金化し、このお金をX、B、C全員で分けるということになります。これは、最もわかりやすい手続きであり、全員が金銭で分配を受けることになるので公平性も保ちやすく、やはり実務では多用する分割方法になります。

特殊な手続き(相続分譲渡、相続分放棄)

相続人の中には、自己の法定相続分について、自分がもらい受ける意思がないという方がいます。
そのような方については、以下のとおり二つの方法があります。

相続分の譲渡

相続人の中には、自分の法定相続分を誰かに譲渡したいという方がいます。そのような場合には、自己の相続分を譲渡することができ、それが『相続分の譲渡』という手続きになります。譲渡するのは、他の相続人でもよいですし、相続人ではない、全くの第三者でも構わないとされています。
譲渡を受けた方(相続人でも、全くの第三者でも)は、その後、譲渡をした方に代わって、遺産分割協議に参加をしていくことになります。
なお、相続分の譲渡をするためには、きちんとした相続分の譲渡証書を作成する必要があったり、相続分の譲渡をすることで相続割合が変化しますので、このあたりは専門家に相談していただく必要があります。

相続分の放棄

自分の法定相続分を、誰かに譲渡したいわけではなく、放棄したい、という方もいます。なお、ここでいう『放棄』は、いわゆる『相続放棄』とは異なります。
『相続放棄』は、被相続人が亡くなったことを知ってから原則3か月以内に、家庭裁判所で正式な手続きを踏んで受理されることで、初めから相続人ではなかったことになりますので、一切、分与を受けることもなければ、被相続人に借金があった場合にその責任も負うことはありません。
この点、『相続分の放棄』は、前述の『相続分の譲渡』同様、相続分の放棄証書を作成するだけでできるものであり、また期間制限もありません。
しかし、相続人としての地位までは失わないので、もし被相続人に借金があった場合、その責任を免れることはできません(借金などのマイナスの財産も、遺産分割協議の対象となる“遺産”になります。)。
この、相続分の放棄についても、これをすることで全体の相続割合が変化しますので、やはり、専門家に相談をしていただく必要があります。

さいごに

以上のように、相続が発生した場合には、遺産分割協議をまとめる必要がありますが、できる限り早い段階で専門家に相談することで、未然にもめるのを防ぐことができたり、自身に不利な形での遺産分割協議になることを防ぐことができます。
相続が発生する=身近な方がお亡くなりになったということですので、発生当初は、葬儀等で忙しく、具体的な相続について考える暇もなく時間が過ぎ去っていってしまうこともよくあるようです。
場合によっては、被相続人が生前のうちでも、専門家に一度ご相談をしておくことをお勧めいたします。

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