2022.04.25
平成30年相続法改正を振り返る その1
所有者不明土地関連法が令和3年4月28日に公布され、遺産分割に関する時間的制限や相続登記の義務化等の改正が令和5年から順次施行されることになっています。この改正を解説する前に、平成30年7月13日に公布された民法改正を振り返っておきたいと思います。
平成30年の改正は、平成25年に非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としていた民法第900条の規定が憲法違反であると最高裁判所が判決したことにより、民法の該当条文が改正されたことがきっかけとなったと言われています。この規定について最高裁は平成7年に一度合憲と判断していたのですが、18年が経過し、法律婚だけを重視するのはおかしいという意識が社会全体に行き渡ったことを受けて、最高裁も規定を見直すべき時期にきたと判断したわけです。このことは、社会情勢や社会通念が変化することにより、それに合わせて法律も変わるものなのだという好例かと思います。
この改正を機に、各方面から相続法制の見直しに関する意見が集まり、法制審議会に「民法(相続関係)部会」が設置されました。部会では、高齢化社会の進展や家族の在り方に対する国民意識の変化等の社会情勢に対応して相続法制を見直すべく、幅広く議論がなされました。その結果、既存の規定の見直しや新しい制度の設置など、多岐に渡る改正法案が国会に提出され、長時間にわたる審議を経て可決されました。改正法は、各規定毎に令和元年7月1日、令和2年4月1日、令和2年7月10日、と順番に施行されました。
次回以降、平成30年改正の中から重要なものをピックアップして解説していきたいと思います。