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相続不動産の評価 その2

相続不動産

相続不動産を評価するにあたっては,いくつかの評価基準があり,そのいずれを用いるかどうかは,全相続人の話し合いによって定められることについては,前回ご説明致しました。

相続不動産の評価額を定めるにあたり,いかなる評価基準を用いるかという点の他に,争点となり得る可能性のあるものにつき以下にご紹介致します。

まず,相続開始後も,相続人の一部が相続不動産に居住するなどして相続不動産の全部ないし大部分を使用収益している場合には,相続開始後からの使用利益をどのように評価するかが問題となります。すなわち,相続不動産は遺産分割協議が成立するまでの間は,全相続人の法定相続分の割合に応じて共有状態にあるところ,相続不動産に居住するなどして相続不動産の全部を使用収益している一部の相続人は,使用収益していない他の相続人の持分部分についても使用していることになるため,他の相続人から持分部分の使用利益の対価を求められた場合にはその対価をいかに評価するかもまた問題となり得ることになります。ここで問題となる使用利益の対価については,最終的には賃料類似のものとして金銭的に評価されることになり,その場合,相続不動産自体の金銭的評価と合わせて評価する必要が生じることになります。

他方で,相続開始後に,固定資産税等の公租公課や修繕費など相続不動産のために必要な支出をした相続人が存在する場合,支出をしていない他の相続人に対し,その持分の割合で負担を求めることがあり得ますが,その場合には必要な支出の内訳ないし評価もまた問題となります。具体的には,公租公課や修繕費のうちいかなる割合で負担を求めるか,また修繕費については全てを負担の対象とすべきか一部に限られるべきか,などが問題となります。そして,前述の使用利益の対価と同様に,必要な支出についても,最終的には金銭的に評価されることになりますので,やはり相続不動産自体の金銭的評価と合わせて評価をする必要が生じることになります。

以上のように,相続不動産の評価額を定めるにあたっては,相続不動産それ自体の評価に加え,上記の使用利益や必要な支出等の評価が付随する場合もあり,その場合,評価額について全相続人が合意に至ることはさらに困難になることになります。

以上

 

 


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