2018.03.20
相続人が多数いる場合
例えば、自分の親が亡くなり、いざ相続手続きをしようとすると、実は親には前妻との間に子がいて、その子はすでに亡くなっているが、その子にもまた子供(親からすると孫ですね。)が数名いる(そのような場合には『代襲相続』といって、孫が相続人となります。)、ということが判明することがあります。
長寿の時代ですので、高齢になってから亡くなった場合には、その下には多数の子や代襲相続人がいて、相続人が次々現れるということが珍しくありません。
弁護士に相談をされる方の多くは、相続人間で話し合いがまとまらないので相談したいというケースですが、中には、相続人が多すぎて手に負えない、というケースもあります。
被相続人の預貯金を解約したり、不動産の名義変更をする場合、相続人全員の戸籍謄本等が必要になりますが、相続人の数が多ければ、集める戸籍も多くなり、またそのようなケースの常として、相続人が全国に散らばっているケースも多い傾向です。
戸籍を集めたとしても、今度はどのように各相続人に連絡をとり、遺産分割協議をするのか、という大問題があります。相続人の皆さんが知り合いであれば問題ないのですが、上の具体例のように、存在すら知らなかった方々へ協議を持ち掛けるわけですから、なかなかハードルが高くなります。
弁護士(に関わらず、専門職)は、そのような場合、基本的には、各相続人の住所を調べて、書面を送り、話し合いを求めます。
その回答を待って、皆から一致した回答が得られるのであれば、遺産分割協議書を作成する流れになりますし、皆バラバラな希望がある場合や、そもそも回答が得られないような場合には、ケースバイケースですが、通常は遺産分割調停を申し立てて、家庭裁判所を利用して、解決を図っていきます。
相続人が多ければ多いほど、皆の意見の一致する可能性も低くなりますので、最終的に弁護士案件になる可能性が高いです。
そうであれば、こじれる前の段階で、弁護士が介入して法律的に正確に協議を主導していくことで、解決が少しでも早まり、かつ公平になることが多いですので、多数の相続人がいるケースは、ぜひ弁護士のご利用を検討してみてください。
なお、気を付けていただきたいのは、あくまで弁護士は依頼者からしか費用はいただけません。
相続人全員で、ある一人の相続人の代理人弁護士の弁護士費用を分担して負担する、というのは、原則できませんので、その点はお気を付けください。
弁護士 塚谷 翔