2021.11.29
相続税の申告実務のいろは ~下調べは急げ、遺産分割・登記・売却は急ぐな~
※今回のお話に登場する「相続」は全て「申告が必要な相続」です。 ご自身の相続が「申告が必要な相続」かどうかはコチラ↓で確認してください。 (https://www.sapporo-souzoku.com/tax/check.shtml) ※相続税の申告期限までの全体像はコチラ↓で確認ができます。 (https://www.sapporo-souzoku.com/tax/flow.shtml) |
相続税の申告・納税期限は原則として相続開始日から10か月後です。
今回はその申告期限までに"何を急ぐべきか、何を急ぐべきではないか"をお話し致します。
<急いでやるべきこと>
①相続人の調査(戸籍収集)
②遺言書の有無の確認(場合によっては①で集めた戸籍使う場合あり)
⇒相続人の調査、遺言書の有無の確認は相続手続きの中でも特に急いでやるべきものと言えます。
これらに共通する特徴は「比較的時間がかかる作業で、結果次第でその後の方向性が大きく変わる」ということです。詳しく見ていきましょう。
①相続人調査(戸籍収集) |
②遺言書の有無の確認 |
<急いでやるべきではないこと>
③遺産分割協議
④不動産の相続登記
⑤相続した不動産の売却等
⇒上記の③~⑤は可能な限り十分な時間をかけて、慎重に行った方が良いでしょう。
これらは何故、慎重に行った方が良いのでしょうか。
【急いでやるべきではない理由1】 相続税の申告において税額を大きく下げることができる特例の一つに「小規模宅地の特例」があります。 「小規模宅地の特例」の詳細はこちらをご確認ください。 (https://www.sapporo-souzoku.com/measure/tax.shtml) この特例には複雑な要件があり「誰が、どの不動産を相続し、いつまで保有したか」と言った外形が揃わないと利用できません。 上記の③~⑤はこの外形を決定付けてしまう要素に他ならないのです。 よく検討せずに③~⑤を完了してしまい、実際の申告の際に"小規模宅地の特例が利用できない"といったことにならないように注意しましょう。 |
【急いでやるべきではない理由2】 相続した不動産を売却される方は比較的多くいらっしゃいます。不動産を売却し利益が出ると譲渡所得税の申告・納税をしなければなりません。 特に譲渡所得税を下げることに着目すると、この売却にも手順とコツがあるのです。 節税を重視した場合、どのような方法が最も有利かは相続ごとに違うため一様ではありません。 しかし、より多くの選択肢から有利な方法を選ぶためには、③~⑤が完了していない状態の方が都合が良いのです。 |
当センターでは遺産分割の方法や、その後の不動産の売却等の処分まで見据えた様々なシミュレーションプランをご提案しています。
③~⑤がすでに完了しているケースでは、選択肢が限られてしまうこともあるのです。
相続税の申告があるケース、不動産の売却を予定しているケースでは、③~⑤を行う前にまずご相談を頂くことが、何よりの節税対策と言えるでしょう。