相続税について
申告が必要かどうか
確認してみましょう!
相続が起こると誰しも「相続税は発生するのか」が気になるところです。相続と一言で言っても、状況に応じて、申告が必要なもの、不要なものとがあるのです。
そもそもあなたに起こった相続は、「申告が必要な相続」でしょうか?
結論から先に伝えてしまうと、申告が必要な場合とは次の2つの場合です。
相続税の申告が必要な場合とは
- 「税金が発生する相続」は必ず申告をしなければならない
- 「特例適用により税額を抑える場合」にも必ず申告しなければならない
あなたに起こった相続が、「申告が必要な相続」なのかどうか詳しく見ていきましょう。
そもそも相続税とは
どなたかが亡くなったとき、一定額以上の遺産がある場合には、期限までに相続税の申告をした上で税金を納めなければなりません。
しかし全ての相続で申告が必要なわけではありません。実際にここ数年、相続税の申告が必要な人の数は、相続が発生した方100人のうち8~9人程度にとどまっています。9割以上の人は税金が発生せず、申告の必要もないのです。
ではどのような場合に相続税の申告をしなければならないのでしょうか。例外もありますが、基本的には「税金が発生する相続」の場合に申告が必要なのです。
「税金が発生する相続」とは
原則として遺産総額が一定額を超える場合に税金が発生します。この一定額を基礎控除額と言います。平成27年の法改正以降、基礎控除の額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と決められています。
例
基礎控除額=3,000万円+600万円×3人(妻、長男、次男)=4,800万円
ご自身に相続が発生した場合、遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかを計算し、「申告が必要かどうかの簡易チェック」をしてみるとよいでしょう。
申告が必要かどうかの簡易チェック
以下の手順に従って簡単にチェックしてみましょう。
このチェックで一番大事なことは、細かいことは気にせず分かっている相続人、財産状況でとりあえず計算してみることです。
ステップ01
基礎控除額を計算する
こちらを参考に、基礎控除額を計算してみましょう。
ステップ02
把握している財産を書き出してみる
把握している遺産を、エクセル等を利用してリストアップしてみます。
この時、相続財産になるかどうかわからないものもとりあえず入れてみましょう。
ステップ03
書き出した財産を簡単に評価してみる
評価方法についてはこちらで解説しています。
評価が難しいものは、リンク先にある「概算の評価額」で計算するのもよいでしょう。不動産など特に評価が難しいものは、ひとまず固定資産税評価額で計算してみるのも一つの方法です。
ステップ04
マイナス財産を検討する
マイナスの財産がある場合にはそれを財産総額から差し引きます。お葬式の費用や、銀行のローンなどが該当します。
これらの金額は比較的わかりやすいかと思います。
ステップ05
計算結果に応じて判定してみましょう
計算結果に応じて次の3つに分かれます。
判定①
「基礎控除より1,000万円以上少なく、大まかな財産がほぼ網羅されている」場合
⇒恐らく税金は発生せず、申告の必要もないと言えるでしょう。
判定②
計算結果が基礎控除を超える場合
⇒相続税の申告が必要です。相続税の申告には期限があります。早い段階で信頼できる専門家に相談してみましょう。
判定③ ※次のどちらかに当てはまる場合
計算結果は基礎控除未満だが、超えるか超えないかギリギリの場合
すべての財産が判明していない場合
→相続税の申告が必要な可能性があります。
申告が必要かどうかで今後の流れが大きく変わってきます。まずは本当に申告が必要かどうか専門家に判定してもらう必要があるでしょう。
税金を抑える方法について簡単に知ってみよう
税金が発生しそうな場合、何とかして税金を安くしたいと誰もが思います。実は相続に関連する税務申告には、税金を減らすことができる様々な特例や控除の制度があります。
実際に減額できる税額はケースバイケースとしか言えませんが、中には数百万円も減額できたり、税金自体がゼロとなることもあるのです。
相続税額を抑える方法
小規模宅地の特例を利用する
各種控除の制度を利用する未成年者控除、配偶者の税額軽減、障がい者控除、相次相続控除など
相続に続く関連税金を抑える方法
不動産売却の際の取得費の特例
マイホームを売ったときの特例
被相続人の居住用財産を(空き家)を売ったときの特例
相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例
など
注意しなければならないのは、特例を利用する場合、多くの場合期限までに「必ず申告しなければならない」点です。
特例の適用により、税金がゼロになる場合であっても必ず申告が必要です。
また特例には複雑な要件や、様々な添付書類が求められます。専門家でないと特例の判断が難しいケースもあります。特に不動産が絡む場合には「誰が、いつ、何を相続したか、いつまで住んでいたか」など様々な縛りがあります。
安易な遺産分割や不動産の売却、または相続による所有権の移転登記を急ぐあまり、取り返しのつかないことになることがないよう、きちんと検討することが大切です。
さいごに
相続税の申告は、必要な場合、不要な場合がはっきりわかることが多いです。
まずは簡易チェックで検討してみることをお勧めします。
相続税の申告が必要と分かったら、申告の流れを確認していきましょう。