相続案件での経験談②(マイナスの財産があるケース)

前回(といっても相当前になってしまいますが、、)、具体的な相続案件で困難だったケースのご紹介をしました。

今回も同様に体験談をお話ししたいと思いますが、今回は、相続財産の中にマイナスの財産があるケースです。

マイナスの財産というのは、負債になります。わかりやすいものとしては、消費者金融からの借り入れがあったようなケースです。

このときは、被相続人がある市から土地を借りており、その土地上に建物を建てていたというケースでしたが、市から借りている土地の地代を数年分支払っていないために、支払債務が残ったままに亡くなってしまったというケースです。

借りている土地の上の建物は被相続人名義なので、相続財産になりますが、すでに数十年経過しており、建物自体も倒壊寸前のような有様でしたので、売れるものではなく、むしろ解体するのにお金がかかります。

相続人としては、相続放棄をしてしまうことも検討しましたが(家庭裁判所で相続放棄の手続きを行えば、相続人ではないということになるため、土地の未払い賃料を支払ったり、上の建物を処分したり、そういったことをする必要はなくなります)、すでに被相続人が亡くなり相続が発生したことを知ってから3か月が経過していたため(法律上、相続放棄の手続きは、相続発生を知ってから3か月以内に行わなければなりません)、相続放棄もできません。

ただ、被相続人はほかにも土地建物を2,3持っていたのと、預貯金も若干あったことから、土地建物を何とか売却し(これもなかなか売るのが難しい物件であったため、時間がかかりました)、その売却利益と預貯金とで、市から借りている土地の上にある建物を解体し、更地にしたうえで土地を市に返還をすることができました。

残るは未払い賃料の処理です。

これについては、市側にも、昔に取り交わした賃貸借契約書をアップデートせずにそのまま流用していたことや、未払い状況になってから催促をほとんどしていなかったなど、落ち度と一応は言えるような状況があったことから、一定額に譲歩をしていただき、十分に返済できるくらいの金額で返済するということで合意を得ることができました。

最終的には、ある程度の金額を残すことができ、相続人の方にも諸々の費用(弁護士費用や実費等)を支出したうえでも十分にプラスになるくらいの金額を渡すことができました。

もし、すぐにあきらめて相続放棄をしていたとしたら、一銭ももらうことができなかったところで、粘りづよく手続きをすすめることで、一定金額を相続することができたということで、成功したケースかと思います。

このように、マイナスの財産があるからすぐに諦めるのではなく、そのほかのプラスの財産も含めて、最終的にプラスになるかどうか、プラスになるとしてどの程度になるかなど、専門家の判断を仰ぎ、慎重かつ冷静に判断をすることをお勧めいたします。その際、相続放棄の3か月という期間は常に意識していただき、場合によってはその期間を伸長してもらうこともできますので、そのあたりも含めて専門的なアドバイスを受ける必要があるかと思います。


この記事の著者

塚谷翔

弁護士

塚谷翔

相続は、親族間の問題であるからこそ根深い対立を招きがちです。早い段階で専門家に依頼することが重要です。迷ったら是非一度相談してください。私は、サッカーと映画鑑賞をこよなく愛しており、映画の評論をしちゃうような弁護士を目指しています。

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